修理後の写真
電気スリッパ(サンダル)の修理をしました。
故障の原因は、よくあるコード切れ。
コード(電線)は接続の根本で切れることがよくありますが、やはりでした。
電気スリッパは、スリッパが暖かくなるわかりやすい製品です。
昔は受験生の友?だったようなイメージがあります。
現在でも製品としてはあるようですが、質実剛健の見本のような電化製品の一つだと思います。
なぜなら、壊れやすい部品が無いから。
電熱部品は、寿命で切れるヒーターではなく、PTC素子。
この部品は電気を与えると熱を発する、すると抵抗が下がる。
つまり、一定の温度を自動的に保ちます。
だから、温度調整装置も加熱防止部品も不要。
単純なゆえに壊れないということです。
今回、片方のスリッパが温まらない。
けれど、コードの接続を変えるとあたたまるというわかりやすい故障でした。
要するに、コード切れです。
ただ、これは本来怖いことです。
たとえば、扇風機の首振り部のコード切れでは火災が発生する恐れがあります。
これは、コードが切れかかる際に、火花が出るからです。
でも、電気サンダルは消費電力が小さいので、コードが切れかかっても火花が出るほどではありません。
ですので、単に温まらないということ以上にはなりません。
コード切れの状況
コード切れは、テスター(回路計)で導通状態を見ればわかります。
コンセントプラグと、コネクタ間の導通抵抗を測定すると、5オーム程度でふらふらしたり、無限大になったりします。
本来は、0Ω(ゼロオーム)近くにあるはずです。
二個あるコネクタの一方で、根本を揺らすと、回路計の針が動きます。
外観には全く異変がありませんが、内部で切れていると予想できます。
コネクタ(差し込み)の根本を、カッターの歯で開いてゆきます。
まるで手術ですね。
患部(切れている部分)がわかりました。
この写真では、右側の電線の芯線がすべて切れています。
切れた電線の修理
切れた電線を修理したいわけですが、電線は2本あるので、悪くない(切れていない)方も切断します。
これは、長さを合わせるためもありますし、一体化させるためです。
連帯責任みたいな感じです。
切れた部分の電線素線。
素線は、本数が多いです。
これは、コード(電線)を柔らかく曲げやすいようにするためだと思います。
つまり、曲げに強く、切れにくいようにという配慮です。
それでも長年の曲げ伸ばしで少しづつ切れてゆくのは普通です。
電線の長さを合わせ、素線を露出させます。
このあと半田付けして接続します。
電線をハンダ接続した後は、絶縁と強度保護のため、収縮チューブをいくつか使います。
電線をハンダ付け。
外観より実質(導通)を確保します。 曲げに耐えるには、できるだけハンダ部を短くします。
ハンダ付けしたあとに、シュリンクチューブを被せて、熱風処理で縮めます。
熱風処理後 隙間なく縮んだところ。
つぎに二線固定用のシュリンク(黒)
さらに透明シュリンク
そして、最終シュリンク(青チューブ)
2つ(左右)のコネクタ修理最終状況
ちょっと青が長すぎたかな。 少し固くなりすぎかも。
あ そういえば、ホットボンドも注入しています。
参考写真
日立電気スリッパSS-208D 100V 20W。 なんと、1991年製。30年近く経っているとは思えません。
スリッパのコネクタ ピン きれいです。
内部。 PTC素子と、電線のみ。 壊れる要素がありません。
説明書の記載
・・本品は歩行用ではありません。
・・・いたんだコードは必ず修理交換してください。
感想
昔の日本製電化製品はすばらしいですね。
人と接する機械は、微妙な感性が要求されます。
暖かさなどは、使ってみないと良し悪しはわかりません。
30年も使えている製品は現行品には換えられない、独特の良さがあるのかもしれません。
P.S.
2年後に、修理していない方の電線も切れたため、同様の修理をしました。
キーワード:足温器、足温機、足用ヒーター、電線切れ、素線切れ。