2020年06月30日

手をかざすだけでアルコールを出してくれるはずが、出ない例。回路の腐食

自動ボトルスプレー

今は必需品かもしれません。 修理できた例です。

image

自動式消毒スプレーの説明書。 手を出すと、ぴゅっとアルコールが出るようです。

image


故障状況

実物は、なんだかかわいいデザイン。 ですが、手を出しても、うんともすんとも無反応。

image

電池は新品が4本。 どうやら赤外線センサで手を検知して、ポンプを作動させるような感じです。 さっそく分解。


image

一枚の電子基板と、ポンプが見えます。  うーこれは修理困難かな?

image

ここで異変を発見。 基板をよく見ると、端子がすべて変色しています。
青っぽい。 えー? 緑青かな。

image

試しに、緑青をカッターで削ってみると、銅の色が見えてきます。
これは、基板全体の銅が腐食しているではないか。

表だけでなく、裏も。 この緑青部分はいわゆるスルーホール(through hole)です。
これは、表の配線と、裏の配線をつなぐ役割があります。

試しに、一部の接続を確認すると、どうもつながっていません。

image

基板断面での説明。 スルーホールが緑青(ろくしょう)により銅が腐食で欠け、一部で回路が切断(circuit open)



image

特に怪しいのが、ICの裏にあるスルーホール。

image

IC(マイクロプロセッサ)を剥がしてみると、スルーホールがいくつもありました。


補修

image

回路が切れているスルーホールを含め、複数の怪しいスルーホールをバイパスします。
ドリル(0.3mm)で突き通し、細線で表裏をつなぎます。

image

パイパス ジャンプでは、スルーホールに接する回路上に細線をハンダ付けし、裏面も同様に接続。



image

修理(wire jump)した部分は、この写真では4箇所。

 

image

あと、赤外線ダイオードがなぜか発光していないので交換。(デジタルカメラで赤外線を確認)


これで、電池を入れてみたところ、プシューっと動くではありませんか。 モーターが数回作動。

おー 反応した。

image
なぜ腐食したのだろう。 思うに、アルコールの吐出ノズルから内側に漏れているのかもしれない。
目に見えないような微妙な漏れでも、基板を痛めるには十分なのかもしれません。

image

対策として、基板の緑青発生部分をマニュキアを使って、防水処理。
結局、表裏全部塗ってしまいました。

 

蓋をして組み立てると、モーターポンプが一回だけ小気味よく作動するようになりました。
蓋の構造もポンプの一部を形成する設計。


 

image

amazonで見るアルコールディスペンサー自動式

posted by 家庭用品修理士隊 at 22:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 墨田のYさん
最近の記事
(01/24)自動点灯ライトの作動範囲を変えてみる
(05/29)キッチンタイマー改造( 大きすぎる音を機械的に小さくする)
(04/01)★ ”着せ替え式 デジカメバッテリー充電器”についての考証・・・そしてまた中華の闇に触れる。
(01/01)★ 恭賀新年・・・令和五年 卯年。
(12/13)★ National ”EZT121”・・・リチウム電池+充電コネクタ?5.5mm 化
(11/29)★ 超廉価デジタルノギスの改造・・・使用電池をLR44→単四に。
(11/24)★ ハンマー機能を活かしたい…旧いドリドラのコンバートリペア。
(11/19)★ DCアダプターのプラグ断線を修理。
(11/12)★ リチウム電池が破裂!…ドリドラの充電池を交換。
(10/28)ノートPCが異様に熱い。 CPUクーラーに銅板追加で改善。
(10/21)6年使った浄水器カートリッジを分解してみた。
(06/24)超小型充電式ハンディーファン。グリルを外せるように改造。
(05/15)スチールラックの高さ調整・改造にパイプカッターが便利
(05/05)自転車用空気入れを、燃えるゴミで処分
(02/05)チャック引手の根元が折れてしまったときの応急修理例
(01/10)湯たんぽ蓋のオープナーを作る。3Dプリント
(12/25)AC電源テーブルタップ。プラグ差し込みを強くする。
(12/12)ポッキリ折れた近業用メガネ(老眼鏡)・傘部品で修理良好
(11/17)事務椅子の背もたれ壊れ。余分なネジを探し出して修理。
(10/13)ポケットトーチ(小型バーナー)が着火しない。綿棒で修理。


タグクラウド
ページトップへ戻る